地球の温暖化は、CO2、CH4,N2Oのような大気中の少量・微量成分濃度が、人間活動で増加していることが原因で起こると予測されている。化石燃料消費で放出される二酸化炭素の量のうち、大気中の濃度増加がその半分程度であり、相当量の人為起源で放出される二酸化炭素が、海洋と陸上生態系(森林)という2つの大きなリザーバーに吸収されていると考えられる。炭素循環研究は、炭素循環図をできる限り正確・精密にすることへの貢献といってよい。炭素循環図を見る時に混乱を招きやすい問題点を指摘することから、展開すべき研究の方向を考えた。ストック(現存量)とフロー(移行量)の概念を明確にすること、定常的炭素フローと人為起源(エクセス)炭素フローを区別することを指摘した。今後の研究の中で、地球化学者の役割、地球観測の進め方を明らかにした。